2008年度例会
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●日本地理教育学会2月例会のご案内
テーマ:中国&アメリカ 世界の教え方
日 時 : 2009年2月28日(土)15:00〜17:30
会 場 : 東京学芸大学S棟101
報告1「中国をどう教えるか」竹内裕一(千葉大学)・長倉健(千葉市立打瀬中学校)
報告2「アメリカをどう教えるか」佐々木智章(昭和第一学園高等学校)
コメンテーター:本木弘悌(早稲田大学高等学院)・西脇保幸(横浜国立大)
対 象 : 社会科教育,地理教育に携わる教員をはじめ,関心のある方。例会は公開しており,非会員でも参加を歓迎いたします。
【趣旨説明】
日本地理教育学会では,2008年4月の第56巻第1号より,従来の「資料」を「地理資料」と名称変更し,小・中・高校における授業実践にすぐ役立つような資料を積極的に掲載する企画をはじめた。現在第2号までに,「中国の工業発展と工業分布」,「中国における二つの人口問題」(上野和彦会員),「コソヴォ問題から読み解くヨーロッパ」,「観光で読むヨーロッパの地域構造」(加賀美雅弘会員),「都市構造からみたアメリカ合衆国の地理」,「アメリカ合衆国の農場と農業様式」(矢ケ崎典隆会員)の計6論文が寄せられた。3名の気鋭の地理学者より,学校現場で高い頻度で取り上げられる中国・ヨーロッパ・アメリカ合衆国の地誌を,それぞれ専門的な立場から,豊富なフィールドワークにもとづき執筆していただいた。
この企画と連動させ,「世界の教え方」という企画を立て,6月例会では「中国をどう扱うか」,11月例会では「アメリカをどう扱うか」という講演を実施した。その際,授業の中でどういかすか,という観点で,地名の扱い,日本とのつながりといった具体的な課題があがった。
本例会では,例会での論議を踏まえ,新課程を意識した教育実践をしていただいた。中学校,高等学校におけるその実践レベルでの試みを発表して頂く予定である。お忙しい中,新しい試みにトライしていただいた先生方に感謝申し上げたい。2月例会での論議を通じ,実践研究者と地理学研究者が,さらに手を携えて充実しあう方向に進めていきたい。
新中学校社会科学習指導要領には「世界の諸地域」が明記され,世界の学習が大きく変わる。まもなく発表される高等学校地理歴史科学習指導要領も世界地誌の充実へとシフトするであろう。その際,児童・生徒が目を輝かせるリアルな地理的事象やそれにあった教材を提案していきたい。
【問い合わせ先】
田部俊充(日本女子大学人間社会学部)
●日本地理教育学会11月例会のご案内
テーマ:新学習指導要領の方向性
趣旨説明
2008年11月例会も新企画「地理資料」コーナーとの連携企画である。学会誌『新地理』に地理学研究者が執筆した最新の報告「地理資料」をもとに幼稚園から高等学校までの地理教育実践者が実践にトライし,その実践成果を例会で発表し,互いに還元し合うことを目的としている。6月例会の中国に続き,今回は第2弾として「アメリカをどう扱うか」を矢ケ崎典隆(東京学芸大)会員より,「「世界」の扱いを考える」を浅川俊夫(埼玉県立総合教育センター指導主事)会員より発表して頂く。
2008年7月中学校の学習指導要領解説社会編も示され,具体的な方向性を考える時期に入っている。年内に発表が予定されている高等学校も含め,「世界」の扱いが一つのキーワードとなっている。そこで,南北アメリカでのフィールドワークの経験の豊富な矢ケ崎会員,教育行政に関わっていらっしゃる浅川会員の問題意識を共有し,会員の皆様の今後の教育実践に活かしていただこうと企画した。
具体的な今後の課題事項を示してみたい。内容(1)ウ「世界の諸地域」に関して,各州の主題例は以下のように示されている。アジア:人口急増と多様な民族・文化,ヨーロッパ:EUの発展と地域間格差,アフリカ:モノカルチャー経済下の人々の生活,北アメリカ:大規模農業と工業の発展,南アメリカ:森林破壊と環境保全,オセアニア:アジア諸国との結び付き。
北アメリカの場合は,“なぜアメリカやカナダは農業生産力だけでなく工業生産力も高いのか”という問いを立て,アメリカ合衆国,カナダの世界貿易に占める地位,小麦やトウモロコシの生産と貿易,農産物の生産分布,工業都市の分布,農産物・工業製品の流通システム及び大量消費する人々の暮らしなどを追究すると,巨大な生産と消費の人々の生活様式が分かり,北アメリカの地域的特色の理解につながる,と具体的に主題例の内容が示されている。
このような提示とともに,各州の課題は後の日本地誌につながるように例示してあるとされているため,主題を問題解決的に1〜2追究していくような資料を開発していかなくてはならない。しかも,生徒にとっては初めての世界学習であるので,各州の自然,産業,生活・文化,歴史的背景の概観も簡潔にする必要があるとされている。以上のような問題点を小学校,高等学校の今後の方向性とともに考えていただきたいと思う。
本例会発表を踏まえ2009年2月例会では,新課程を意識した教育実践についてその試みを発表して頂く予定である。
報告 「アメリカをどう扱うか」矢ケ崎典隆(東京学芸大)
コメンテーター:池俊介(早稲田大)
報告 「世界」の扱いを考える 浅川俊夫(埼玉県立総合教育センター指導主事 前国立教育政策研究所教育課程調査官)
コメンテーター:井田仁康(筑波大)
日 時 : 2008年11月1日(土)15:00〜17:40
会 場 : 東京学芸大学合同棟(東門附属小隣)
対 象 : 社会科教育,地理教育に携わる教員をはじめ,関心のある方。例会は公開しており,非会員でも参加を歓迎いたします。
プログラム
14:00 集会委員会場集合・準備
15:00 趣旨説明
15:10 報告1「アメリカをどう扱うか」矢ケ崎典隆(東京学芸大)
15:40 コメント 池俊介(早稲田大)
15:50 討議
16:10 休憩
16:15 報告2 「世界」の扱いを考える 浅川俊夫(埼玉県立総合教育センター指導主事 前国立教育政策研究所教育課程調査官)
16:45 コメント 井田仁康(筑波大)
17:05 討議
17:40 おわりに
18:30 懇親会
問い合わせ先: e-mail:
日本女子大学人間社会学部教育学科 田部 俊充
〒214-8565 川崎市多摩区西生田1−1−1
FAX:044-952-6780
●日本地理教育学会11月地方例会のご案内
日 程:2008年11月29日(土)13:30〜17:00(終了後懇親会)、30日(日)午前中
内 容:一日目(シンポジウム)、二日目(巡検)
場 所:広島大学附属中学・高等学校(広島市南区翠1-1-1)
交 通:JR広島駅より広島電鉄市内線5番「広島港(宇品)」行に乗車、広大附属学校前下車
共 催:地理教育懇話会(地理科学学会地理教育・ESD研究グループ)
広島県高等学校教育研究会地理部会
◎11月29日(土)
《シンポジウムテーマ》
「持続可能な開発のための教育(ESD)の実施へ向けて地理教育はその存在意義をいかに主張しうるか」
《シンポジウム趣旨》
環境問題や南北問題をはじめとする地球的諸課題が深刻化する今日,「持続可能な開発(SD=Sustainable Development)」は,全世界に共通する普遍的な価値観とすべきであると考える。その実現のために「持続可能な開発のための教育(ESD=Education for
Sustainable Development)」はもっとも緊要であり,新学習指導要領にもその概念が導入され,これからの学校教育の柱の一つとして位置づけられている。ESDは学校教育において各教科や総合的な学習など様々な形で展開されているが,人間と自然との望ましい関係を追究することを目的とした地理教育にはその中核としての重要な任務が課せられている。それとともに、SDの理念をふまえ,その実現をめざす地理教育のカリキュラム開発とその実践が求められている。それゆえに、地理教育の存在意義が今こそ問われている,といっても過言ではない。以上のことをふまえ,ESDは地理教育の新たなパラダイムをどのように切り拓き,これをいかに地理教育の活性化にむすびつけていくのか,このような点についての議論を深めていくことを本シンポジウムの目的とする。
パネリスト
卜部匡司(徳山大学経済学部):カリキュラム論の立場から
永田成文(三重大学教育学部):実践をふまえた理論について
伊藤裕康(香川大学教育学部):小中学校における実践について
濱野 清(広島県立福山誠之館高等学校):高等学校における実践について
田部俊充(日本女子大学人間社会学部):幼稚園・小学校教育の立場から
池下 誠(東京都練馬区立開進第一中学校):中学校における実践について
コメンテーター:中山修一(広島経済大学)
オーガナイザー:和田文雄(広島大学附属福山中学・高等学校 泉 貴久(専修大学松戸高等学校) ◎11月30日(日)
巡検テーマ:「広島市中心市街地の再開発と課題」 コース 千田町〜路面電車〜立町〜シャレオ地下街〜原爆ドーム〜(現市民球場見学あるいはリーガロイアル最上階から鳥観)〜路面電車〜広島駅〜友愛市場散策〜新球場建設見学(説明)〜広島駅(解散)
案内者:天野真哉(広島県立安古市高等学校) 河野幸夫(広島県立安古市高等学校)
【問い合わせ先】
広島大学附属福山中学・高等学校 和田 文雄
専修大学松戸高等学校 泉 貴久
●2008年6月例会「世界の教え方「中国をどう扱うか」・ワークショップ「幼稚園における地図・地球儀の活用」
テーマ:世界の教え方「中国をどう扱うか」&ワークショップ「幼稚園における地図・地球儀の活用」
日時:2008年6月28日(土)14:30〜17:00(開始予定を1時間繰り下げました。ご注意下さい。)
会場:東京学芸大学N棟(北講義棟)3階N304
発表者:講演「中国の工業発展」上野和彦(東京学芸大)
コメンテーター:中山正則(越谷市立宮本小)鈴木雄治(東京学芸大学附属竹早中)
ワークショップ「幼稚園における地図・地球儀の活用」田部俊充(日本女子大)
コメンテーター:吉田和義(稲城市立稲城第六小)
座長:泉貴久(専修大学松戸高)飯塚耕治(春日部市立正善小)
問合先:田部俊充
趣旨説明:マス・メディアからの世界についての情報が得やすくなっている中で,小学校低・中学年,場合によっては幼稚園から国際理解に触れさせる必要性が論じられている。従来の同心円的拡大カリキュラムの見直しが進められる中,新たな世界地理学習の構築が望まれる。2008年3月、新しい幼稚園教育要領(平成21年度実施)、小学校学習指導要領(平成23年度実施),中学校学習指導要領(平成24年度実施)が公示された。今回の改訂では,地理教育,とりわけ世界に関する学習の変更が目に付く。新学習指導要領中学校社会科地理的分野の内容(1)「世界の様々な地域」では,アジア,ヨーロッパ,アフリカ,北アメリカ
,南アメリカ ,オセアニアの各州に暮らす人びとの生活の様子を的確に把握できる地理的事象を取り上げ,主題を設けて地域的特色を理解させるようになるなど,積極的な方向性が目に付く。
今回の例会では,中国の工業化をテーマにフィールドワークを継続的に行ってきた上野教授の講演および新地理に掲載される地理資料を踏まえたうえで,今後の授業実践にどのように授業に取り入れるか,参加者の構想や今後のアイデアを交換したい。可能ならばその授業実践の成果を,次回か次々回の例会で交換し,新たな世界地理の授業づくりの第一歩としたいと考えている。
またワークショップでは,地球温暖化をテーマにした地図・地球儀の活用の授業実践について,幼稚園で行った実践を取り上げ,幼児の実態を踏まえたうえで,「持続可能な開発のための教育」を踏まえた新たな世界地理学習を提案したい。