2005年度例会
●2006年3月例会
共通テーマ:現代高校入試問題(社会科地理的分野)の特色と課題
〜公立高校入試問題から現代の地理教育の課題を考える〜
【趣 旨】
現行の学習指導要領では「地理的な見方や考え方」や「地理的技能」を身に付ける「方法知」重視の内容になった。そして2005年春の各都道府県の公立高校学力検査では現行の学習指導要領の趣旨に則った初めての出題になった。
本学会では中学校社会科地理的分野の学習指導の在り方や方向性、授業実践の報告や新しい教授法の開発などは多々行われてきたが、高校入試問題に関する研究はほとんど行われてこなかった。
しかし「生きる力」を育み「確かな学力」を定着させるために、現在学校現場では「指導と評価」の在り方及び「評価方法」が大きな課題になっている。ペーパーテストは「評価方法」で最も一般的な方法であるが、現行の学習指導要領では知識とともに、地理的な視点や方法を身に付ける「方法知」重視の学習内容になっており、ペーパーテストでもそれらを意図した作問が求められるようになっている。中学校の定期テストでもこの点は同様である。
この課題を検討する上で最も適した材料は、公立高校入試問題であると思われる。なぜなら、公立高校入試問題は第一に学習指導要領の趣旨を十分に踏まえていること、第二に奇問珍問ではなく、中学校の標準的な学習内容を出題していること、第三に出題都道府県の中学生や中学校教員に与える影響が大きいことなどからである。
従って現代の高校入試問題の特色と課題を研究することは、入試問題という角度から現代の地理教育の課題を探ることになるのではなかろうか。
今回は2005年春に各都道府県で出題された社会科地理的分野の問題を例にして、学習指導要領との整合性を精査しつつ、その特色と課題について総合的に検討したい。
以上の趣旨で入試問題に関する例会を行う。当日は参加者から多くの意見を期待している。
日 時:2006年3月4日(土) 14:30〜18:00
場 所:目白学園中学校・高等学校4号館2階 04202号室
東京都新宿区中落合4−31−1
西武新宿線中井駅下車 徒歩12分
都営大江戸線落合南長崎駅下車 徒歩8分
座 長:寺尾 隆雄(大妻中学高等学校)
小林 正人(東京都立鷺宮高等学校)
コメンテーター:新堀 毅 (東京都立立川高等学校)
オーガナイザー:清水 幸男(日本地理教育学会副会長・集会委員長)
問い合わせ先:清水 幸男
●2005年11月例会
日 時:2005年11月26日(土)〜27日(日)
場 所:上越市雁木通りプラザ 上越市本町3丁目2−26 TEL:025-525-4150
交 通:JR信越本線高田駅下車、徒歩10分
参加費:600円(発表資料代・巡検資料代等)
<日 程>
■第一日目<研究会>
受 付 13:00〜14:00
開会・会長挨拶 14:00〜14:05 山口幸男 会長
主催者代表挨拶 14:05〜14:10 西山耕一 (新潟県立直江津高校校長)
新潟県立高田高等学校 14:10〜14:40 コメント:助重雄久(富山国際大学)
地理同好会研究発表
シンポジウム:
テーマ「新しい地理教育」の授業実践の方法・技術について考える 14:40〜17:10
ミニ巡検案内 17:10〜17:30
閉会 ・諸連絡 17:30
懇親会 18:00〜 (4,000円程度)
■第二日目<ミニ巡検>
テーマ:高田城下町を歩く
案内者:川合章彦(新潟県立高田北城高等学校)、志村 喬(上越教育大学)
高田駅前集合 8:30
徒歩にて城下町案内 8:40〜11:40
〜土地利用・地場産業・史跡・観光開発など〜
解 散 11:50(予定)
■宿泊先案内(高田駅前の主なホテル)*各自でお問い合わせ下さい。
・マンテンホテル上越 tel 025-524-0100
・タカダステーションホテル tel 025-522-7878
・高田ターミナルホテル tel 025-523-5428
<問い合わせ先>
新潟県立高田高等学校:吉田 剛 (例会事務局代表)
日本地理教育学会集会委員長:清水幸男
<シンポジウム>テーマ:「新しい地理教育」の授業実践の方法・技術について考える
「生きる力」を新たな学力の指針として掲げた現行学習指導要領が実施されて、中学校では4年目、高等学校では3年目がすでに経過した。「生きる力」とは「ゆとりの中で学習者自らが課題を設定し、その解決に向けて主体的に学び、考えることで、一定の結論を導き出していく能力のこと」をいう。こうした能力が叫ばれるようになった背景として、グローバル化やIT革命化といった国内外における急激な社会環境の変化に積極的に対応し得る人材の育成が急務となっていることをあげることができる。むろん、「生きる力」の重視は「時代の変化への対応」といったレベルのみにとどまらず、教師主導型・知識注入型の授業から生徒主体の活発で創造性豊かな授業への転換を意図したものであることはいうまでもない。
そして、そのように授業が活性化される結果、生徒たちの知的好奇心を喚起したり、社会に対する興味・関心を呼び起こしたり、あるいは自らの生き方・あり方を模索したりと彼ら彼女らの内面形成に一定の成果を与えることが期待できるのである。さらには、「生きる力」のねらいは、自主性・主体性・問題解決という観点から鑑みれば、社会科地理教育がこれまで貫いてきた理念でもある社会(地域)認識形成、市民的(公民的資質)の育成とも合致するものといえる。
こうした点を踏まえ、高校の地理教育においても、基礎・基本を踏まえつつ、現代的諸課題への対応策や解決策が模索されたり、あるいは、地理的諸事象の追究・考察プロセスが重視されたり、さらには、思考力・判断力・表現力を駆使することで知識や概念の獲得が求められたりと、授業実践上において新しい試みがなされるようになった。そして、そのような学びのプロセスを支援するツールとして地理的技能が重視されるようになり、地図学習や野外観察、文献調査、写真解読、統計処理など従来型の作業学習はむろんのこと、開発教育等で導入されているシミュレーションやディベート、ゲーム、ロールプレー、ポスターセッションといった参加型のアクティヴィティーを取り入れた新しい授業形態もみられるようになったのである。いわば「新しい地理教育」の到来ともいえる。
本シンポジウムでは、現行学習指導要領の実施によって徐々に確立されつつある「新しい地理教育」の授業実践に相応しい学習方法や学習形態、指導技術のあり方について中・高それぞれの現場教員の立場からから問題提起をしていただく。その後、コメンテーターからの意見を頂戴しながら、参加者間で活発な議論を展開することで、地理教育における方法論のあり方について一定の見解を得ていきたいと考えている。なおその際、地理教育の理念・目標や内容論との整合性についても議論を深めていきたいと考えている。
パネリスト:土井 聡(富山県立滑川高等学校)
市川正夫(長野県立長野高等学校)
五十嵐雅樹(新潟県立高田南城高等学校)
コメンテーター:大西宏治(富山大学)
オーガナイザー:清水幸男(日本地理教育学会副会長・集会委員長)
座 長:泉 貴久(専修大学松戸高等学校)
吉田 剛(新潟県立高田高等学校)
●2005年10月例会
テーマ:「中学・高校の地理教育で〈交通〉をどう扱うか」
交通は、高校での地理学習において、国家間の結びつきの単元の中に見いだされる。従来は、世界の交通網として、航空・陸上(鉄道)・海上(内陸)交通ともほぼ同等に系統地理的に扱うケースが見られた。学習指導要領の1999年改訂後、現代世界の諸課題の地理的考察として、系統地理的、地誌的アプローチが取り入れられて、航空・海上交通の比重が高まり、陸上交通(鉄道・自動車)の教科書の記述は減少しているのが現状である。
中学では、第3編世界からみた日本の姿として、広がる地域間の結びつきの単元の中で、日本と世界の結びつきとして、交通・通信−航空・海上(内陸)交通、衛星通信分野でのアプローチとなっており、さらに日本国内の交通・通信網、陸上交通(高速道路・鉄道)とその変遷、地域の変容についても扱っている。陸上交通の扱いにウェイトが置かれている。
今回の例会では、過去の一時期(1988・1989)、交通についての授業案の報告が見受けられて久しいが、特に中学で取り扱っている地域の変容に及ぼす交通の影響として、近年開かれた、鉄道、高速道路、空港、港湾などを事例として、予想される地域の変容をどのように授業に取り入れてゆくか素材やヒントを提供したいと考えている。
日 時:2005年10月1日(土)14:00〜18:00
場 所:目白学園中高 地下一階大会議室(予定)
発表者:基調報告 高橋 洋明(目白学園中高教諭)
報 告 山田 喜一(文京学院大女子中高教諭)
報 告 小長谷博之(立正大非常勤講師)
コメンテーター:大島利志彦(高崎経済大学)
オーガナイザー:清水幸男(日本地理教育学会副会長・集会委員長)
座 長:高橋洋明(目白学園中高教諭)
西木敏夫(目白学園中高教諭)
※日本地理教育学会例会は参加自由、無料でする会員・非会員を問わず 、どなたでもお気軽にご参加下さい。
日本地理教育学会・集会委員会