東日本大震災の被災地・被災者に対する日本地理教育学会の対応について

 


 2011年3月11日に発生した東日本大震災により被災された皆様には心からお見舞い申し上げますとともに,一日も早い復興を祈念いたしております。

 地理学とその応用,特に地理教育に関する研究・調査を目的とし,地理教育の発展と普及をめざす本学会では,今回の震災により被災された方々に対して,何らかの支援を行うべきだと考えます。そこで,2011年4月16日に開催した常任委員会においてこの点を審議し,次のような対応をすることを決議いたしました。会員の皆様には,その趣旨をご理解いただき,ご支援・ご協力のほどをよろしくお願い申し上げます。

 


1.被災地・被災者に対する支援について

 震災から約1ヶ月以上が過ぎ,多くの学協会が被災地・被災者に対する支援に立ち上がっております。地理教育を専門とする本学会においても,学校教育現場における地理(社会科)授業の復興に協力することが求められています。

 しかしながら,被災地は未だ混乱状態にあり,また余震が頻繁に発生するなど予断を許さない状況も続いております。加えて,震災による原子力発電所事故の影響も深刻さを増しており,その問題解決にはかなり長い期間が要するものと予想されます。このような状況の中で,被災地の教育現場も混乱状態にあります。例えば,施設・設備の劣悪な状況はもとより,本当に必要なものが届かなかったり,せっかくの支援物資が重複してしまうという例も多くみられるようです。

 こうした混乱した状況下においては,より効果的・効率的な支援のあり方を模索する必要があります。具体的には,被災地の実態を踏まえたきめ細かな支援体制を確立し,支援窓口の一本化を図ることが不可欠です。そのような中,地理学・地理教育関係学会では,(社)日本地理学会がいち早く「東北地方太平洋沖地震災害対応本部」を設置し,被災地・被災者に対する支援体制を整えております。

 そこで,本学会では,独自に支援活動を展開するのではなく,(社)日本地理学会の取り組みに協力することを中心に,支援を行うことにしたいと思います。具体的には,次の3点を支援の重点にしたいと思います。

 

(1)日本地理教育学会は,(社)日本地理学会の東日本大震災地理教育復興支援賛助金募集事業「東日本大震災地理教育復興支援事業-被災校に地理教材を-」の取り組みに対して,積極的に協力します

 本賛助金募集事業は,「他の多くの大震災募金活動との差別化をはかり,本学会らしい支援を行なうため,支援対象 は東日本大震災で特に甚大な被害を受けた小学校,中学校,および高等学校とし,賛助金の使途は, 図書,地図,視聴覚機器などの購入,野外実習の車借り上げ代など広義の地理教育に関連するものとする」ことになっています。本学会はこの趣旨に賛同し,積極的に協力したいと思います。賛助金の振り込み等に関しての情報は以下の通りです(詳細は資料1参照)。

<資料1 http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/04/13/sanjo_annai.pdf

1.賛助金の振込先 下記の口座へお振込みください。

【郵便振替の場合】

 振替口座:00140-0-781866

 加入者名:社団法人日本地理学会

【銀行振込の場合】

 みずほ銀行 本郷支店 口座番号:2825963

 口座名:社団法人 日本地理学会   代表者 矢ケア典隆

2.賛助金の受付期間:平成23年3月28日から6月30日まで

 

(2)日本地理教育学会は,(社)日本地理学会の提言「地理(社会科)授業再開に際しての教科書・教材整備に向けた緊急提言」(2011.4.11)を支持し,政府,関係教育委員会・教師,学会員に対して積極的に働きかけます

 提言の内容は,以下の通りです(詳細は資料2参照)。

<資料2 http://www.ajg.or.jp/ajg/2011/04/12/20110411teigen.pdf

1.地図帳等の教科書が,高等学校生徒を含む全被災児童・生徒に適切に配布される必要がある。

2.地理(社会科)授業の特性を十分に配慮した教材支援が必要である。

 

(3)日本地理教育学会は,(社)日本地理学会「東北地方太平洋沖地震災害対応本部」の活動を支持し,積極的に協力します

  同学会の「東北地方太平洋沖地震災害対応本部」は理事長を本部長に2011年3月14日に設置されました。具体的な取り組みは,以下の同学会HPをご参照ください。

http://danso.env.nagoya-u.ac.jp/mirror_ajg_disaster/201103_Tohoku-eq.html>

 


2.学校教育における防災教育の積極的な推進について

 今次の学習指導要領の改訂では,防災教育の必要性が謳われ,とりわけ地理教育がその中核を担うことが期待されております。今回の震災において,私たちは防災教育の必要性を身をもって体験したわけですが,今後は地震災害を中心とした防災教育を強力に推進していかなければなりません。そこで,日本地理教育学会では,次のような取り組みを展開して参ります。

@集会委員会を中心に,震災と防災教育にかかわるシンポジウムや研究会を開催する。

A震災・防災教育にかかわる研究グループの設置や震災と防災教育に関する研究・調査に積極的に取り組む。

B(社)日本地理学会「東北地方太平洋沖地震災害対応本部」の活動に協力し,被災地の支援,復興に貢献することを目的とした調査・研究に取り組む。

 


3.被災された会員に対する今年度会費の免除措置について

 被災された会員の中には,困難な生活状況に追い込まれていらっしゃる方もおられると思います。そこで,日本地理教育学会では,被災された会員のうち,希望される方には本年度会費を免除する特例措置を設けます。

 今年度会費の免除を希望される会員は,事務局までその旨をご一報ください。所定の申請書類を作成していただき,それをもとに常任委員会で審議した後,今年度会費を免除いたします。

 

 


                          2011年4月22日

日本地理教育学会常任委員会